パトカーの県費購入と国費購入とは?

パトカーの県費購入と国費購入の違いを知れば、ご当地パトカーが生まれる理由もわかる。

街を走る所轄署や本部執行隊の白黒パトカー。一見どれも同じ『税金で購入されたパトカー』に思いがちだが、実はパトカーには大まかに分けて、国(警察庁)が一括購入して各都道府県警に配分する”国費”、それに各都道府県が独自の予算を使ってそれぞれ購入した”県費”の2種類がある。

210系クラウン・パトカー

2016年から200系の後継として全国配備が始まった210系クラウン・パトロール。

まずは無線警ら車の代名詞であるトヨタ・クラウン。こちらについては多くが国費で配分された車両となっている。沖縄県警に配備される無線警ら車には「特別防錆処理」という塩害によるサビ対策の処理が施されて納入されているが、基本的に警察本部が違えども、中身は全く同じなのが国費導入車両なのだ。

交通取締用四輪車(高速Ⅱ型)

こちらもクラウン。警視庁高速隊の交通取締用四輪車(高速Ⅱ型)だ。

ところが、各都道府県では国費配分のパトカーだけでは第一線車両の充足率を充たせていないのが現状だ。

「国費パトカー」で足りない分を補う「県費パトカー」

そこで登場するのが各都道府県が自前の予算、すなわち各自治体の費用で独自に導入する県費モノのパトカーである。なお本項では便宜上、都費、府費、道費を全て含め『県費』と呼称する。

さて、県費で購入する白黒パトカーのラインナップは国費購入車両と比べると、各都道府県によってそれぞれの特徴が見られるのが実情だ。県費車両ではプリウスやインサイト、アリオン、キューブ、ベルタなどのマイナー車種が珍パトハンターに人気がある。例として以下のページでプリウスのパトカーについて言及をした。

覆面プリウスは存在するのか

 

ではなぜ、このように地域ごとに採用される県費パトカーの車種に違いが出るのか。それは、各都道府県の予算の規模、またその地域で力の強いディーラーが、在庫の捌けない不人気車種を突っ込んでくることなどが理由だ。

だから、全国それぞれの地域ごとにメーカーの全く違う特色のある県費パトカーが出てくるし、その県にしか存在しない変わりダネ車種、いわば「ご当地パトカー」が誕生するわけ。

熱心なパトカーマニアが追っかけているのは国費配備の最新覆面パトカーだけではないのだ。

交通取締り用パトカーを例にすると、北海道警察が日産ティアナのレーダー・パトカーを配備し、青森県警では同じくローレルを配備している。また、警視庁では2004年に都費購入で交通取締り用のマツダのRX-8を導入している。

都費購入である警視庁の交通用パトカー・マツダRX-8。2016年、後述の日産フェアレディZ”ニスモ”に後継を譲った。

警視庁交通機動隊のマークX覆面。こちらも警視庁の都費購入だ。

どれも通常、その警察本部の管轄内でしか見られないご当地パトカーなのである。

国費塗りと県費塗り
国費や県費で導入されたレガシィやクラウンといったパトカーでは、トランクドアの塗り分けが異なる。これがいわゆる『県費塗り』と『国費塗り』である。パトカーを後ろから見て『黒色の比率』が多めなら、その車両はほぼ県費購入。なんのためにこんな塗り分けをしているのか詳しくは不明だが、この塗り分けの違いもパトカーマニアを一喜一憂させているのである。

国費・県費パトカーのまとめ

このように、日本の警察車両には大きく分けると、国が一括で購入して全国に配分する国費購入、そして国費で足りない分を補うため、それぞれの都道府県が自らの予算で購入する県費購入があるのだ。

しかし、実は県費購入や国費購入のパトカーだけではない。

高級車のパトカーはほぼ民間からの寄贈車両