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国会における衆参両院内の警備や治安維持などは、やはり警視庁警察官が責任を持って遂行しているのだろうか。
三権分立の原則に則り警察官を拒否する国会は独自の警察を有している
日本の国会は三権分立の原則に則っているため、議長の許可がない限りは総理大臣等の警護を担うSPを除いて、例え警備のためでも警察官が日常入ることは許されない。
このため、衆参両院がそれぞれ議院警察権という権限を有しており、自前で警備している。
そして、国会内の治安と風紀を維持する任務に就く職員が「国会衛視」という衆議院事務局または参議院事務局に所属する専門職員(特別職国家公務員)なのだ。
国会衛視には国会法第114条により付与された内部警察権の執行を許されている。現在、衆参両院合わせて500名の国会衛視が国会内で限定された警察活動を担っているのだ。
なお、国会外周や周辺の警備は警視庁警察官が担っており、あくまで衛視は国会内部ならびにその敷地内のみでの警察権行使にとどまる。
国会衛視の制服と武装は?
国会衛視は警察官の制服と似た肩にエポレットつきのシャツ、紺のズボン、それに制帽といった制服を着用する。ただし、夏服のシャツの色合いは異なり、また上腕部の記章については警察官が右上腕部だが、国会衛視は左上腕となるほか、胸の階級章も警察官とは逆に、右胸に着装するなど、意図的に区別されている。
限定的な警察権を与えられた国会衛視だが、現状ではけん銃の貸与は許されておらず、普段は制服のポケットに呼び子だけを携行し、丸腰で両院内部において警察権の行使を行う。ただし、近年では出入り口を固める門衛など一部の衛視については特殊警棒を常時携行する。
国会歴史上初となる警察官による対テロ訓練
2014年10月にカナダのオタワで起きた同国連邦議会議事堂での銃撃事件や、日本の国会への不審者侵入などが契機となり、国会内部の対テロ警備の重要性が警察庁と警視庁、そして国会の3者で協議され、2015年7月、国会史上初となる警察官による大規模なテロ対応訓練が国会内にて行われた。
全身黒ずくめの耐火アサルトスーツを着用し、海上保安庁や自衛隊特殊部隊も使用しているMP5を構えた警視庁機動隊銃器対策部隊員が国会内で索敵を行い、発見した犯人の肩を狙い撃ちして取り押さえる演出や、爆発物処理隊が犯人の投げつけた爆発物に見立てたリュックサックを処理するなどといったシナリオであったが、この中にSAT隊員(警視庁のSATは機動隊の中の部隊ではなく、警備部警備第一課の直轄部隊)が混ざっていた可能性もある。
犯人役の角刈り男こそ現役のSAT隊員ではなかったか。
2015年2月、国会衛視にもけん銃での武装を検討
2015年1月にISIL、いわゆるイスラム国が日本人2名を加害したうえで、日本人へのテロ予告を行ったため、日本政府は警察などに対して警戒レベルを引き上げさせたが、ほぼ丸腰である国会衛視にも今回新たに銃による武装を検討し始めた。
典拠元
http://www.sankei.com/politics/news/150211/plt1502110003-n1.html