※記事のバナー画像は海上保安庁公式サイトから引用したもの。
警察では主として港湾、河川、湖における警察事象に対応しているが、主に海域では海上保安庁が救難警備活動を担っている。この記事では海上保安庁の任務と役割に迫る。
海上保安庁の役割と司法警察権
海上保安庁は昭和23年5月1日に設立された警備および救難機関である。ただし、海上保安庁は警察庁ではなく、国土交通省の外局として国土交通大臣がその指揮を執る。現状の日本国において、警察庁以外で警察を凌ぐ強大な武装を持つ捜査機関は海上保安庁をおいて他にない。
その主な任務は巡視船艇・航空機を効率的に運用した監視による海上交通の確保、そして外国船籍への立入検査、外国漁船の領海内操業の監視など海上での犯罪防止と捜査といった治安の維持だ。
さらには海難救助、海上防災・海洋環境保全には全国の海上保安署や基地で24時間体制で対応している。とくに船舶における火災や、浸水、転覆など緊急を要し、特殊で高度な救難技術を必要とする海難救助には、装備を充実させた救難強化巡視船や最精鋭の特殊救難隊を派遣して海難者の早期救助にあたる。
一方、世界的に高まるテロリズムの危機に対する海上保安庁の対応として、国際テロ対策本部を設置し、各種テロ対策を講じる必要性から、国内外の関係機関との連携・協力も積極的に行っている。まさに日本の海上の護りを最前線で担っているのだ。海上保安庁では諸外国と緊密に連携を図り、テロや国民の生命に脅威を及ぼすその他の犯罪行為の情報を収集し、未然に防ぐ活動を行っている。
近年では国際協力として、海賊対処ミッションにも積極的に参加している。
海上保安本部とは?
海上保安庁では日本全国を1から11の管区に分け、それぞれに置かれた管区海上保安本部が警備救難活動を行っている。海上保安本部は言うなれば、各都道府県警察本部に相当するが、都道府県警察と違って完全に独立してはおらず、海上保安庁の直轄となっている。海上保安本部の下にはさらに海上保安部、海上保安署があり、実際の警備救難業務に従事している。
それぞれの管区ごとの海上保安本部
- 第一管区海上保安本部(北海道小樽市)
- 第二管区海上保安本部(宮城県塩竈市)
- 第三管区海上保安本部(神奈川県横浜市中区)
- 第四管区海上保安本部(愛知県名古屋市港区)
- 第五管区海上保安本部(兵庫県神戸市中央区)
- 第六管区海上保安本部(広島県広島市南区)
- 第七管区海上保安本部(福岡県北九州市門司区)
- 第八管区海上保安本部(京都府舞鶴市)
- 第九管区海上保安本部(新潟県新潟市中央区)
- 第十管区海上保安本部(鹿児島県鹿児島市)
- 第十一管区海上保安本部(沖縄県那覇市)
北海道を管轄しているのが第一管区海上保安本部だ。北海道の全域を一管本部が管轄していることから、ロシア当局の警備船から日本の漁船を守るために監視などを行っている。
また北海道周辺海域は世界的な好漁場であるため、我が国をはじめ、中国や韓国など外国漁船による排他的経済水域における不法操業が頻繁に行われており、対処が必要だ。