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このページでは、街中で最も身近に見られる白黒の「警らパトカー」について解説します。
私たちが街で見かける白と黒のツートンカラーをしたパトカーは一見同じように見えても、警察署の地域課、あるいは交通課、警察本部に所属する自動車警ら隊や交通機動隊といった本部執行隊のパトカーなどさまざまです。さらに所属によって選定される車種や運用方法も異なります。
伝説の警らパト……「日産クルー」
日産が1994年から製造販売したクルーは、主にタクシー事業者に使われたセダンですが、国費と県費の二種でパトカーとしても採用され、全国で大量に配備されました。
このクルーの後期から、現在では標準装備となったブーメランタイプの赤色警光灯および、昇降機を付けたスタイルが確立されました。
もっぱら警ら用パトカーとしての採用でしたが、一部の県警本部では、なんと交通機動隊の覆面パトカーや、レーダーを搭載し、交通取締りに専従していた白黒パトカーとしても実際に配備されていました。
警らパトの2強!その1……「クラウン・パトロール」
現在、比較的多く見かけるのはトヨタのクラウンの警らパトカーでしょう。警察庁が国費で全国の警察にバラまいたクラウンパトカーは、常に地域社会の安全に貢献しています。
昨日の千葉県警に続いて神奈川県警でも210系クラウン警らパトカーを車内も含めて完全公開。カーロケシステムが千葉県警が日立、神奈川県警がパナソニックと別なのが興味深い。 pic.twitter.com/fcndRqfC87
— お巡りさんでない方の人 (@ihansha) 2017年1月18日
一方で「警察がクラウンに乗るのはおかしい。もっと燃費の良い小さい車で良いのでは」とネット上で一部の人が批判めいた意見提案をすることもあります。しかし「警察のクラウンパトカーは中身が貧相なのに……」と、いくら警察マニアが上から目線で説き伏せても、パトカー入札の知識がない「善良な市民」が、このような批判をするのは至極当然かもしれません。
一般にクラウンといえば、20代の土木作業員から田舎のチョッとした土建屋の社長まで、幅広い世代に愛される車種でもあり、高級車の代名詞。最近では彼らの愛車になる車がレクサスに変化した感もありますが。
警察は今までクラウンのモデル変更のたびに採用してきましたが、今回のフロントマスクが特徴的な210系クラウン白黒パトカーも無事採用となりました。210系といえば、ピンク色の特別モデルなど過去のクラウンのスタイルと伝統をあまり踏襲していないことも話題となりましたよね。
なお、交通取り締まりを専門に行う交通用には210系アスリートが採用されています。
警らパトの2強!その2……「BMレガシィ」
近年、一時的にクラウンに変わって、スバルのBMレガシィ警らパトカーが多く配備されるようになりました。
それというのも、これまでは警らパトカーの採用条件としてトヨタのクラウンが主に優位に立てるような前提条件ばかりだったのですが、近年ではその入札条件が緩和されたためです。このため、全国の警察本部の白黒パトカーでは警察庁が全国的にバラまいた「トヨタ・クラウン・パトロール」に変わって、スバルのBMレガシィが増殖することとなりました。
が、前述の210系が採用となり、今後も継続的に配備されるかは不明です。
ほかにも神奈川県警ではキザシの白黒パトなど珍しい警らパトもあります。
パトカーはなぜ白黒なのか?
それについては群馬県警察が公式に回答しています。
典拠元 群馬県警察
www.police.pref.gunma.jp/keimubu/08kouhou/kid/situmon.htm
当時の日本では民間の一般車両のほとんどが白色だったそうです。その中で、警察のパトロールカーの見分けをつけるために車体の下半分を黒にしたそうです。
その後、昭和30年になり全国でこのカラーリングが統一されたとのこと。
なお、警察車両のカラーリングとしては白と黒のツートン以外にもあり、機動隊の車両は青と白のツートンや、グリーンだったりなどさまざまなカラーがあります。
ミニパトおよび小型警ら車の解説
地域課の交番勤務員などの地域警察官が主に使用する軽自動車や小型乗用車タイプの警察車両をミニパトや小型警ら車と呼びます。小型警ら車は1000CC前後の普通乗用車の配備が多いようです。
これらミニパトや小型警ら車は、通常のクラウンやレガシイの警らパトカーよりも多く配備され、まさに警察官の足として使用されています。ただし、ミニパトで被疑者の車両を追跡したりは基本的に禁止されています。
とくに警視庁管内の各警察署交通課では、ミニパトが交通違反取り締まりに活躍しており、主に女性警察官が乗車して駐禁取締を行っています。警視庁ではミラ(ジーノ、イース含む)、エッセ、ハイゼットカーゴ、ミニカ、アルトなど多くの車種が見られます。そのほか、全国的にはダイハツのmoveやテリオスキッドなどが配備されています。
一方、小型警ら車のミニパトにはソリオ、パッソ、スイフトなどが全国的に配備されています。
ミニパトにも警察庁が一括購入し、全国の警察本部へばらまいている国費モノと、各警察本部が購入している県費モノがあります。ディーラーのモータープールで、出荷前のミニパトが警察表記を付けない状態で何百台も並んでいる姿は圧巻です。
なお、警視庁には白黒の軽自動車のパトだけでなく、軽自動車の覆面パトカーもあります。そのほか、ミニパトも当然ながらサイレンアンプと赤色灯を搭載しており緊急走行が可能です。
クラウン無線警ら車には自車の速度を利用して測定する「ストップメーター」と呼ばれる速度測定装置が装備されていますが、ミニパトには備わっていません。さらに車載通信系の無線機も搭載していない場合がほとんどです。
ただし、警視庁のミニパトには無線用アンテナを搭載する車両が多く見られます。高層ビル群の谷間では無線の通信環境が悪化することから、乗車する警察官が携行する署活系無線用の可搬型無線機と同軸ケーブルを接続して本署との通信環境を改善するためです。
まとめ
えっ?全然解説が足りないって?では、こちらの「パトカーの装備品」についても、よろしければお読みくださいませ。