元警察官の著名人は作家やジャーナリストを除いてほとんどいない?警察官の再就職はどこへ?

元警察官の過去を意図的に隠している方もいると思うが、元警察官の著名人は実はそんなに多くいないようだ。

なかでも元警察官、とりわけ元刑事の過去を売りにしているのは、ジャーナリストやコメンテーターなどの職業だろうか。

テレビでお馴染みだった故・田宮榮一氏は元警視庁捜査一課長として刑事畑で長年活躍してきた元刑事。その的確な推理能力と語録はインターネット上でも有名だ。

また北芝 健氏や飛松 五男氏なども刑事として活躍された方々で、退官後はニュースやバラエティ番組などでコメンテーターとして活躍されている。北芝氏は元刑事の知識を生かし『踊る大走査線』や『こち亀』の原案協力も行っている。『こち亀』に関しては現職警察官時代から行っており、ギャラは自身の捜査費用に充てられたという。

元警察官であっても、当然しゃべりが上手くなければ、バラエティ番組で視聴者を魅了するタレント的存在にはなれないし、文章能力がなければ本も書けない(とはいえ代筆者はいくらでもいるが)。元警察官の肩書きがあっても、最後にはやはり肩書きよりも、個人の実力がモノを言うのは言うまでもないだろう。

しゃべりと言えば、声優の中には一人だけ元警察官を公表している人物がいる。サザエさんに登場するアナゴさんの声優で有名な若本規夫さんだ。同氏は警視庁の機動隊にいた元警察官だったという。これには同僚のマスオさんも驚きだろう。あの特徴的な体育会系の声はやはりタダものではないと思っていたが……。

また、お笑い芸人の花子さんは当初、元警察官を売りにしていた。当時は『婦人警官』と呼ばれていたので、『元婦警さん』という触れ込みで、ミニパトの隣に立つ制服姿の花子さんの写真がテレビで何度も放映されていたが、ある日気づいた時にはテレビで見る花子さんの紹介は『元婦警』ではなく、『元交通巡視員』という肩書になっていた。

警察官の再就職

しかし、上述のテレビでも取り上げられるような著名な元警察官らだけではない。元警察官が一般的な会社や団体へ再就職する場合もあるだろう。その際はどのような業種へ再就職するのだろうか。

調べてみると以下のような団体や職種があるようだ。

交通安全協会

交通安全協会は正式名称を一般財団法人・全日本交通安全協会という。日本各地の警察署内に支部を設けており、運転免許を持つ人なら必ずお世話になっているはずだ。というのも運転免許の更新時講習および更新手数料の収納事務は、大阪府を除いて警察からの業務委託を全国で交通安全協会が独占受注しているからだ。

しかし、この交通安全に寄与する素晴らしい協会が、世間のやり玉にあがる事も間々ある。その理由はその会員勧誘、つまりお金集めにあるとも言われている。

交通安全協会への加入は、あくまで任意であり、運転免許を持つ人にとって義務ではない。ところが、一部では免許更新時の窓口での対応で、入会は任意であることを説明せずに、あたかも義務であるかのように入会費を請求する場合もあるそうだ。もう一方、この交通安全協が話題になる理由は警察官OBの再就職先としての側面だ。

不思議なことに、交通安全協会に加入している警察官はいないという。「警察官で交通安全協会に入ってる人はいません!なぜなら(入っても)何の意味もないことを知っているからです!」こんな衝撃的な言葉をテレビで発したのは、元兵庫県警の刑事・飛松五男氏。同氏は警察退職後も事件捜査にかかわり、私的な「捜査」で事件の犯人を割り出したという伝説の元刑事で、現在は警察関連のテレビ番組のコメンテーターなど精力的に活動している。

それにしても、現職の警察官で交通安全協会に入っている者はいないとは驚きの発言だ。

かつてのビデ倫

映画などを審査する協会「日本ビデオ倫理協会」に元警察官が多かったという。ビデ輪といえば、映像制作メーカー90社以上が加入する審査機関の最大手として知られ、役員には元警察官僚がおり、当局との調整役になっていたが、元警察官僚を締め出したことから取り締まり当局の怒りを買い、2007年、メーカーが適切な処理を施していない動画を適切に審査せず発売させたとして、わいせつ物頒布ほう助の疑いで家宅捜査が入ったことで2008年に解散し、存在していない。ただし、その業務は別の団体にほぼ譲渡されている。

警察の取引商社

警察の車両や航空機、信号機などを扱う会社などにOBが再就職するようだ。自衛隊幕僚が防衛装備品メーカーに再就職するケースと似ているだろう。

病院の危機管理担当や、福祉事務所の生活保護担当

昨今では苦情を言う患者を黙らす危機管理要員に警察OBを雇う病院もある。また、市町村の福祉事務所にて警察OBを起用する例もあるようだ。厚生労働省は2012年3月1日、社会・援護局関係主管課長会議において「警察OBなどを福祉事務所内に配置すること」を積極的に検討するよう指示したためだ。

これにより、全国の福祉事務所に元警察官が急増。確かに柔道で耳の潰れた元警察官に吊り上がった目と腹の底から出る体育会系の怖い声で威圧されれば、困窮した日本人の生活保護申請者も諦めてそそくさと逃げ帰ってしまいそう。

警備会社

警察官として養われた風格は警備員にもってこい。もちろん道路工事の棒振りではなく、身辺警護や警備輸送など重要な業務だ。ただし、警備業法により、逮捕された場合は一定期間、警備員にはなれないため、不祥事を起こした元警察官はしばらく就けない。

その他の業種

元警察官の立場を活かして、警察官受験アドバイザーを名乗って講師を務める場合もあるようだ。ほかにも、多様な業種で活躍している元警察官が多いようである。