警察事務職員や交通巡視員などの警察職員とは

警察組織には警察官以外の警察職員も働いているが、中でも代表的な職員に警察事務職員がいる。また交通巡視員といった、一見警察官と同じ制服を着て警察官同様に交通違反の取り締まりなど、交通警察活動のみに従事する警察職員もいる。

これら警察の中で働く『警察官以外の警察職員』をご紹介する。

警察事務職員

警察事務職員とは各都道府県警察本部で募集を行っている警察行政、警察事務、その他技術系職員で採用された警察官以外の警察職員（地方公務員）である。警察事務職員の業務はもっぱら事務的な職務と市民応接で、警察署を訪れた市民の方と直接話をしたり、対応する場面で事務職員は活躍している。検察庁の検察事務官と違い、司法警察権や特殊警棒の所持許可もなく、現場の捜査にかかわることはできないが、サイバー犯罪支援や犯罪統計資料作成など、警察官の後方支援として活躍できる。

また、警察署には免許更新や車庫証明など交通関連の手続きを業務とする交通総務係があり、これらの業務も警察官と警察事務職員が対応している。

さらに、警察職員全体に対する給与や福利厚生に関する業務にも従事する。

警察本部に勤務する事務職員は主に交通に関する設備の購入や管制課の備品管理を行う。

また、警務課で雑用や、警察官志願者への受験の事務や募集広報に関する業務として、学校へ出向いて募集案内なども行う。一方、各警察署の会計課にて遺失拾得物の管理にも従事する。

ほかにも、車両管理では車検・点検・修理の実施やガソリンなどの購入事務を行う。

警察事務職員と公務災害の例。容疑者護送中に腰ひもで手のひらを切断

2006年、熊本県警察の女性警察事務職員が容疑者につけた腰ひもを手のひらに巻いた状態で持って護送中、ドアが閉まって降下したエレベーターによって腰ひもがひきずられ、手のひらを切断するという痛ましい事故が発生した。

＜容疑者護送＞ひも引かれ、女性職員が手切断　熊本地検で
(毎日新聞 – 10月25日 23:51)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=107748&media_id=2
２５日午後２時４５分ごろ、熊本市京町の熊本地検内のエレベーター付近で、容疑者を護送中の熊本県警山鹿署の女性事務職員（２５）が左手のひらを切断する事故があった。

熊本北署などによると、女性職員は、恐喝容疑で山鹿署に逮捕された女性（１８）を護送する際、容疑者につけた腰ひも（太さ約８ミリ）を自分の左手に巻き付けた状態で、容疑者に続いてエレベーターに、乗ろうとしたところ、ドアが閉まりエレベーターが降下。外側に残された女性職員はエレベーターの内側から腰ひもを強く引っ張られ、左手のひらから先が切断された。

女性職員は他の男性警官３人とともに被疑者を護送して３階の取調室から１階まで下りる途中だった。容疑者にけがはなかった。【伊藤奈々恵、高橋克哉】

典拠元

http://www20.tok2.com/home/geromi/mixi_backup/diary/253250263.html

本来、警察事務職員は警察官のような法執行を行わないが、実際には被疑者の護送など簡易な法執行にも従事する。

警察事務職員になるには

求められる人材は元気で明るく、指示待ちではない積極性、高いコミュ能力、社会常識と言葉使い、逮捕歴皆無のクリーンな経歴が必要であることは警察官同様。警察官になりたいが、階級による絶対的な上下関係による服従と体育会系に自信がない人が警察事務職員を目指す場合もある。

なお、警察事務職員も警察学校での教育が義務となっている。

警察学校の採用時教養で基礎となる初任科教養に脱落者が多い理由

交通巡視員

警察官とほぼ同じ制服を着用し、交通取締りや交通指導といった一部の警察活動に従事するのが、各都道県警察職員の交通巡視員だ。現在では全国の警察本部で交通巡視員は廃止されるか、警察官に統合されており、交通巡視員の採用は減少している。

ただ、交通取締りができると言っても、捜査権や逮捕権がないことは後述する貸与品の内容でも明らかである。

なお、お笑いコンビの花子さんは交通巡視員として大阪府警に採用されていたとテレビで紹介されていた。

交通巡視員の所持品は？貸与される所持品と貸与されない所持品は定められている

『警察官等の被服及び装備品に関する条例』における公開情報によれば、交通巡視員に対して貸与されるものとして以下のように明記されている。

階級章又は交通巡視員章、識別章、警察手帳、警笛、帯革又は肩かけかばん

員数はそれぞれ１つとなる。なお、『警察官等の被服及び装備品に関する条例』には

『ただし、交通巡視員に対しては、手錠、警棒、けん銃及びけん銃つりひもは貸与しないものとする。』

とも明記されている。

ほぼすべての警察本部公式サイト内において、同じ文言があることから、全国的に交通巡視員に対する貸与品の内容は同じであるとみられる。

つまり、交通巡視員は警察職員であり、交通取締りに限って法の執行が許されているが、警察官同様に、けん銃や特殊警棒などの貸与は認められていないことがわかる。

交通巡視員と交通指導員は異なる

交通指導員ワッペン

一方、交通巡視員に似た官職名に『交通指導員』という特別職の地方公務員がいるが、交通指導員は市町村から任命された交通安全協会職員が兼務する職であり、交通巡視員の様に警察職員ではない。

交通指導員もまた、警察官や交通巡視員とほぼ同じ制服を着用するが、そのもっぱらの業務は学校などへ出向き、学童への交通安全教育実施であり、交通巡視員のように交通取締りにあたることはない。

警察庁技官

警察庁が採用する国家公務員の警察職員。警察庁情報通信局および管区警察局情報通信部での技術的な支援を任務としている。これまでは警察独自の情報通信ネットワークの構築や保守に携わってきたが、近年ではサイバー犯罪対策など、直接的な捜査支援も行っている。情報通信部では通信所という施設を各地で運用しており、公安警察の指揮下で北朝鮮、中国、ロシアなどの無線を傍受することも任務となっている。

情報通信局および通信所、技官の役割については以下で詳しく解説した。

警察庁情報通信局と技官の任務とは？