警察官の当直と日勤。そして非番……。一体何をして過ごしているのか。
警視庁の公式サイトにて公開されている広報資料によれば、一般的な警視庁の地域警察官が日々こなしている勤務シフトは第1当番(8:30~17:15)→第2当番(15:30~翌朝10:30)を経て非番、そして公休という四部制シフトになっている。ブラック企業とはまるで違う優良なシフトだ。
また刑事課も6日に1回は当番日がある。
警察官が非番や休日において、図らずも事件などに遭遇した際は?
では、非番や休日に警察官が事件事故と遭遇した場合、どう対処するのだろう。
昼夜を問わずに発生する犯罪、その現場に非番の警察官が居合わせた場合、当然率先して警察官であることを明かし、市民の生命財産を守るなどの対応が求められる。
2008年に起きた東京秋葉原での事件では凶器を持って逃げる犯人を単独で追跡し、取り押さえ、逮捕した制服警察官の行動が賞賛を呼んだ。同警察官が犯人を路地裏のサトームセン前に追い詰め、けん銃と特殊警棒の二段攻めで逮捕している場面は通行人によって撮影され、広く報道され、一人で追い詰めた地域警察官には賞賛の声が集まり、警視庁もこの警察官の勇気をたたえ、表彰している。
ところで、撮影されたこの写真には制服警察官に加勢し、被疑者を押さえ込んでいる体格のよい私服の男性も写っていた。勇敢な彼はいったい何者だろうか。実は彼は37歳の非番の蔵前署員だった。”たまたま秋葉原に牛丼を食べにきたところ”に事件と遭遇、警察手帳を示してから、容疑者を取り押さえたと、のちの裁判で証言した。
犯罪だけではない。時には災害現場での住民の避難誘導も警察官の役目である。2018年に発生した西日本豪雨災害では広島県警察の警察官2名が市民の避難誘導中、土砂に巻き込まれ殉職している。
なお、業務外での警察手帳の携帯は警察本部ごとで対応が違うのが実情だ。警視庁のように積極的に推進する場合もあれば、福岡県警などのように勤務が終われば一切持たないと明言している場合もある。これについては警察手帳の記事にて詳しく解説している。
警察官はお休みの日に何をやっているの?
前述のように、非番の警察官は秋葉原でアニメイト参りや牛丼特盛つゆだくを食べるなどグルメにいそしむほか、ぱちんこ屋などに行って遊ぶなどして貴重な休日を過ごしている。
警察宿舎の横にある汚いパチンコ屋でいつも打ってるのは非番の警察官
— パチンコ掲示板 (@pachinkobbs) 2017年7月6日
また、登山などを愉しんだり、バス釣りやサバイバルゲームをやっているアクティブな警察官もいる。あるサバイバルゲーマーが、0.98ジュール以上に威力を強めた準空気銃を、同じサバゲー仲間である新米警察官にすすめ、悩んだ新米警察官が上司に相談し、その結果、チームやフィールドにガサが入り、違法サバゲーマーが御用になった珍事件もある。
2020年10月には非番の日に交番の裏で燻製を作っていて、ボヤを出してしまった巡査長が出てしまった。
ただ、趣味や遊びに人生を謳歌したいけれど、お酒だけはいつ起きるかわからぬ事件事故の非常呼集への備えのために飲めないとのことで、せいぜい近所で買い物を楽しんだり、ぱちんこ店といった愉しみしかないのが、警察官のつらいところなのかもしれない。
また、このような事情から旅行も制限される。ただ、全く旅行ができないのではなく、新婚旅行くらいは御目こぼしされる。しかし、その旅行も階級が偉くない限りは上司の許可が必要かつ、ほぼ三日以内の小旅行。しかも、詳細な旅行の計画書を上司へ提出し、決裁を受けることが必要。
さらに「私は警察官として市民の手本となるべく、飲酒運転など絶対に行わず法令を順守します」という誓約書の提出までも命じられる。無論、飲酒運転をした場合は即、依願退職するという契りでもある。
ただし、職場の懇親旅行など、職場単位での旅行は広く行われている。
一方で、貴重な休日をサバイバルゲームではなく、地域住民とのふれあいや青少年健全育成のために使う警察官もおり、少年野球の監督などを務める場合も多い。
また、仮装や音楽演奏、寸劇、公園や道路の清掃活動など、自治体主催の地域交流イベントがあれば強制参加を命じられるのが警察官にとってつらいところ。
このようにさまざまな地域行事やボランティアにも積極的に参加して(させられて)、貴重な休日を市民との信頼関係の醸成のために捧げる(捧げさせられる)警察官もまた多いようである。