DNA鑑定や車両のナンバー自動読み取り装置、18歳未満の児童の画像識別システムなど、日本だけでなく、世界の警察ではその犯罪捜査技術が日進月歩で進み、より高度にハイテク化されつつある。
しかし、一方では警察犬の鼻に頼るという、やや時代遅れにも感じる古典的な捜査手法もいまだ健在だ。現在、日本警察には警察本部が飼育、訓練する『直轄警察犬』と、民間から任用した『嘱託警察犬』の二種が運用されている。
警察犬の歴史と運用
例として、北海道警察本部では1973年9月、はじめて警察犬が導入された。現在、道警では9頭のジャーマンシェパードが直轄警察犬として、さらに嘱託警察犬が68頭登録されている。これらの犬は北の大地で犯罪捜査や災害救助、爆発物捜索でも活躍している。
刑事部は警察犬を犯罪捜査で活用
遺留品の捜索など、犯罪の捜査に警察犬を運用するのは刑事部鑑識課で、犬の嗅覚は人間の数千倍であることから、犯人の追跡や行方不明者の捜索にも投入される。警察犬を搬送する専用車両も配備されており、緊急車両としてサイレンと赤灯を搭載する。
警備部は警察犬を警備で活用
一方、2015年からはすでに任用されている警察犬とは別に『警備犬』と呼ばれる犬も警視庁をはじめ複数の警察本部で導入されている。これは2020年の東京オリンピック開催にかかる警備強化が狙いだ。
警備部が運用するこれら警備犬は主に災害救助で活躍するほか、格闘訓練も受けている。最近では警視庁刑事部SITが警備犬とともに出動していたことが報道されている。
警察犬嘱託審査会は嘱託警察犬任用の登竜門だぜ!
冒頭で触れたとおり、警察犬には直轄警察犬と民間から任用した嘱託警察犬の二種がいる。
直轄警察犬
各都道府県警察が自組織内で犬を直接管理(所有)し、職員(警察官)によって訓練されている警察犬
嘱託警察犬
民間の警察犬訓練所で訓練されている非常勤の警察犬。任用には警察犬嘱託審査会での合格が必要
民間の警察犬訓練所で警察犬を目指して訓練を受けている犬が嘱託警察犬へ登用されるためには、何はともかく嘱託警察犬としての採用を審査する警察犬嘱託審査会での合格が最初の関門だ。同審査会では臭気選別や足跡追求、捜索など、警察犬として必要な能力を試すために各種のテストが行われ、その能力が試されている。
なお現在、日本警察犬協会はドーベルマンやシェパードなど7種の犬種を警察直轄の警察犬として指定しているが、嘱託警察犬としてこの縛りはなく、柴犬やダックスフントのほか、近年では奈良県警察がチワワの警察犬を採用して話題になっている。
なお、航空自衛隊および海上自衛隊でも警備犬を直接管理で配備しており、基地施設の警戒任務のほか、災害では被災者の捜索にも投入されるなど活躍している。