【千葉県警】『回転式けん銃への弾込め作業中に誤射』事故で『構造的、物理的に無理』との懐疑派の声が話題

画像の出典 千葉日報

千葉県警のベテラン地域警察官(54)が、本署のけん銃保管庫内で回転式けん銃に『弾込め』の作業中、銃の引き金を引き、一発『誤発射』する事故が発生した。

誤射した警察官は指に軽い怪我をしただけで、命に別状はなく周囲の別の署員にもけが人はいなかった。

千葉県警柏署は12日、署内の拳銃庫で同日午前7時35分ごろ、男性巡査部長(54)が拳銃の実弾1発を誤発射したと発表した。巡査部長は地域課の交番勤務で、出勤に伴い回転式拳銃に弾を込めていた。拳銃庫内にいた複数人の警察官に、けが人はなかった。

同署によると、巡査部長は右手の親指に擦り傷を負っており、銃の引き金を引いた際のものとみられる。立った状態で作業しており、弾は木製の手入れ台を貫通。数十センチ先の壁に当たったという。同署は誤った原因など、詳しい状況を調べている。

引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/030e0a55cc070c71d7cf369e0450cdfb6ee54081

自動式けん銃ならまれにある事故と言えるのかもしれない。

最近は”制服警察官”でも腰に自動式けん銃を吊っているシーンを見かける(彼らの全てが地域警察官とは限らないのだが)。

だが、記事によれば、当該の警察官が扱っていたのは自動式ではなく、回転式けん銃とのこと。

この事実にはSNS上で『弾を込めている最中でも引き金引いたら発射されるんだ…』とか『構造的に、物理的に、無理』とのツッコミのうえ、この記事を書いた記者の認識不足を疑う声などがあり、物議を醸している。

一体、その理由とは。

存在しない弾丸が発射された?

通常、標準的な回転式けん銃に弾丸を込める際は、弾丸を装填する『弾倉(シリンダー)』を銃本体から左側へ引き出す操作(スイングアウトという)を行い、一発ずつあるいは『スピードローダー』と呼ばれる補助具を使って一度に複数装填する。

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全国の警察官に貸与されている現行けん銃『M360J SAKURA』の遊戯銃

シリンダーがスイングアウトしている間は、機構的に引き金が引けないのが回転式けん銃の特徴だ。

一方、自動式けん銃であれば、たとえ弾倉(マガジン)を抜いたとしても、薬室(チェンバー)内に残弾が一発残っている可能性があり、これが誤射の原因となることもあるため、チェンバーチェックを行うなど、十分な確認が必要となる。

弾を込めた弾倉が薬室を兼ね、それが銃本体に収まらなければ、発射すべき銃弾が銃本体に『存在しない』機構を持つ回転式けん銃なのだから、弾込め中に無理やり引き金を引いても何も起きない。この機構が自動式けん銃との違いだ。

千葉県警察で配備されている回転式けん銃の詳しい銘柄は不明だが、一般的に47都道府県警察の地域警察官は、全国的に同じ銃種が貸与されているため、千葉県警のみが特殊なけん銃を使用しているとは考えにくい。

都道府県警察では3種類の回転式および、2種類の自動式けん銃が主流

SNSの声

したがって、回転式けん銃の構造を知っている者からすれば、今回の誤射に関してツッコミを入れるのは至極当然と言えるのかもしれない。以下のSNS上での人々のコメントを見てみよう。

また、誤射の『原因』を訝しがる声自体も多く「うそくせー」とか、さらにヤフコメには『口論からぶっ放した』など憶測の声などもあった。

また「心療内科でカウンセリング受けて」との声もあった。早まった選択をするよりも、しかるべき医療機関にて早めの受診をするか、辞めたいのであれば、通常の手続きに沿って退職をしたほうがよいとの人道的なアドバイスなのかもしれない。

どこからどこまでが『弾込め』なのか?

『弾込め』とは、一般的に言うと、銃に弾丸を装填する作業を指す。

ただ、その装填作業自体が弾込め作業の主体であるものの、銃をホルスターから取り出してシリンダーをスイングアウトし、弾丸を装填して銃をホルスターに納めるまでの一連の流れを全て含めて『弾込め』と呼ぶのだと指摘する人もいた。

つまり、今回の事故はこの一連の作業の中で起きた事故であり、実際に弾を込めている最中に起きたとは言えないとも推定される。

なんのために引き金に指をかけたのか?

報道によれば『誤射』とのことで、”誤って引き金を引いた”ことは明白だろう。

とはいえ、この署員は何のために引き金に指をかけ、引いてしまったのだろうか。必要もないのに銃の引き金に指をかける行為は推奨されていない。

だが、記事によれば当該の巡査部長は『弾込め』で引き金を引いたというのだ。

通常、弾丸がシリンダーに装填された状態で引き金を引いたのなら、弾丸の納まった薬室の位置が次の発射位置に来たならば、回転式けん銃には手動式の安全装置がないのだから、正常に弾丸が発射されうるだろう。

この単純明快な機構を持つ回転式けん銃を主流として配備しながらも、その発射機構を嫌って『安全ゴム』なる物理的な”安全装置”を後付けしているのは日本警察のジレンマとも言える。これについては以下の記事で解説している。

『安全ゴム』に見る日本警察のけん銃管理

つまり、今回の誤射事故ではこの安全ゴムすら取り外されていたということでは無いのだろうか。安全ゴムの運用にも都道府県警察ごとに違いはあろうが、いささか不自然な感じがする。

とは言え、今回の事故の記事をそのまま読むならば『引き金を引いたから弾丸が正常に発射された』と解釈でき、それはすなわち、回転式けん銃としては極めて正しく正常に作動したという事でもある。

だが、何のために当該の署員が引き金を引いたかは不明だ。

いずれにせよ、ベテラン地域警察官が引き起こした今回の『事故』、その背景に何があったのか、例の如く詳細は不明だ。

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