【海外】フランス人のマニアが『日本警察のパトカー』を公道で走らせ、国家憲兵隊が押収!?地元で大反響

2021年の2月、フランス国内にて珍事件が起きたようです。

ある土曜日、フランスのPas-de-Calais(パドカレー)にあるArras(アラス)近郊の高速道路にて交通取締りに従事していたフランス国家憲兵隊Gendarmerie (ジャンダルムリ) 高速道路隊のあるユニットですが、彼らはこれまでおそらく一度も国内で見たことがない、とんでもないクルマを発見します。

フランス国家憲兵隊Gendarmerie (ジャンダルムリ) のパトカー。画像の出典 Facebook

国家憲兵隊のパトカーの前を、”とても遠い異国の自分たちと同業者の車両”が高速でかっ飛ばしていったのです。

その車種は世界的にも人気の高い「ホンダ シビック Type R」で、ヨーロッパで普遍的な”ブルーライト”ではなく赤いエマージェンシー・ライトを取り付け、ボディの側面にPOLICEの表記をつけていますが、ホワイトとブラックのツートン・カラーでした。すなわち、”日本警察仕様のパトカー”だったのです。

フランス国家憲兵隊Gendarmerieは文民警察官ではなく、軍の憲兵として平時でも国家および地方警察と共に国内の治安維持を行う治安機関ですが、憲兵はこの”白黒のパトカー”が自分たち国家憲兵隊のみならず、一般警察のどのユニットにも配備されていないことにすぐ気がついたでしょう。

こちらは主に大都市を管轄するフランス国家警察(Police nationale de France)の実際のパトカー。日本と違い警光灯は青色タイプで車体カラーも白色が基調です。Photo by RomanBonnefoy

憲兵隊員はすぐに停車させて、運転手に職務質問しました。

すると運転手の男性はビンテージカーのコレクターで、この日本警察パトカーは本物ではなく、レプリカであることが判明。男性は自分の”パトカー”にコーティングをかけに行く途中だったそうです。

『たとえ日本の首都警察のパトカーのレプリカでも、警光灯とPOLICEの文字をフランス国内でつけるのはダメだ!』

憲兵隊はこの男性を摘発、同車も押収されたそうです。

日本国内では外国の警察のパトカー(実物の中古車)を走らせても摘発されないのとは違い、フランスでは刑法の第433-15条にて『公用車両に似せた車両を使用すること、または国家警察の役人または軍隊のバッジ等を使用することは国民の誤解を招くため、いかなる人によっても禁止する』として明確に不法行為。最大6か月の懲役、7,500ユーロの罰金となります。

このレプリカパトカーは所有者へ返還されるそうですが、警光灯の撤去と『POLICE』の文字は消すように裁判所命令が下るものと見られています。日本語の『警視庁』はいいのかな・・・・・・!?

報じている地元紙は『ナンバープレートはフランス語ながら、ほぼ完璧なレプリカ』と評している。 (写真・フランス国家憲兵隊)

さて、日本のパトカーファンにとっては海外の”日本警察車両マニア”の存在も大変気になりますが、このレプリカ・パトカーの完成度(再現度)に注目してみましょう。

まずはルーフ上の緊急車両用赤色灯。現在、日本警察で主流のパトライト社製『エアロブーメラン』に一見似ていなくもないようですが、メーカーは判然とせず、日本国内ではあまり見られないモデルを装備。

赤色灯中央の銀色のカバー(スピーカー収納部)のデザインは今となってはクラシカルな雰囲気です。

一方車体の配色ですが、車体下部のスカートが白色では中途半端。さらに黒色部分はどうやら艶消しの様子。

車体の表記では『警視庁』のテクノっぽいフォントの再現は難しかったようですが、POLICE表記とエンブレムはリアルです。

こちらは実物の警視庁パトカーのエンブレム。上記のレプリカ車体の側面のマークと実物が微妙に違うのは意図的!?

一方、さすがにパトカーのフロントに装着する旭日章のレプリカ作成は困難だったようで、デカールにて代えていることがわかります。それとも単にHONDAのエンブレムを撤去したくなかっただけ!?

余談ですが、昔は信号制御機の箱に付いた警察マークのカタを取って複製するマニアがいました。それが原因で、一部では制御機の箱が昔よりも高い位置へ設置されるようになったとか、ならなかったとか!?

写真・フランス国家憲兵隊

しかし、日本のコップカーの命とも言えるこの旭日章を忘れずに再現するとはナカナカの研究熱心さが伺えます。間違いなく熱烈な日本警察車両愛好家と言えるでしょう。

なお、2021年3月に配備された北海道警察のV37スカイライン・パトカーのボンネット上にも同じようなものが・・・・・・。

もっとも、実際にはシビックTYPE Rのパトカーは警視庁に配備されていませんから、車種選定の点で言えばダメ出しが出るでしょう。

しかし、それは野暮というもの。”実際の配備車両を忠実に・・・・・・”というより、あくまでTYPE Rファンの作者による自車愛優先のデッチアップだったのでしょう。

 

最後に一言言わせていただければ、やはりルーフにユーロアンテナがあれば、再現度はより高くなったでしょう!?

フェアレディZの警視庁高速隊パトカー

なお、”日本警察のレプリカパトカーが外国を走る”という珍事は今回のフランス以外にも、中国でも起きており、なんと大阪府警のパトカーを再現するという中国人マニアもいたようです。

ちなみにこちらは日本国内での日本の偽パトカーの事件です。

【第2報】札幌の偽パトカー事件、YouTuberと劇用車会社従業員を書類送検

ソースの出典 https://www.francebleu.fr/infos/insolite/a-arras-les-gendarmes-interceptent-une-fausse-voiture-de-police-japonaise-1613507031