警察官が法執行のためにけん銃を使用できる法的根拠は武器使用の権限を明文化した警察官職務執行法のうちの第7条(武器の使用)に基づいたもの。
これまでは警察官が無法者に対して致命的な力を行使する前には、まず銃口を向ける「構え」を行った上で口頭で警告を発し、それに対して従わなければ、次の手順として足元または上空への警告である威嚇射撃を行うという多段階の梯子を登る必要がありました。
それでも被疑者が命令に従わず、警察官自身や市民に差し迫った危機が及ぶと思慮される場合に限り、足や腕など致命傷にならない部位に向けて発砲するという武力の行使指針になっていたのが、これまでの運用です。
しあkし、現在ではより逼迫した状況下においては威嚇射撃を必要としない新ガイドラインにアップデート済みです。
その理由はなぜでしょうか。
必ずしも威嚇射撃の必要がなくなった理由
車両での逃走、兵役を受けた韓国人による武装スリ集団をはじめとする外国人らによる凶器を用いた犯罪などが増加し、これらの凶悪な被疑者らによって警察官の身体に重大な危害が加えられる受傷事故が増えたのは久しいが、2001年(平成13年)からはついに『警察官等けん銃使用及び取扱い規範』において、けん銃の使用規定が緩和され、威嚇射撃なしで発砲できるように改正が行われました。
近年では2001年、警察官に危害を加えられる事件が相次いだため、全国的に威嚇射撃なしで発砲できるよう、新ルールが定められた。
典拠元 京都新聞 https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180515000127
状況のひっ迫性においては頭部に命中させるなどして、やむをえず被疑者を一発で無力化させる必要も。実際に、公開された警視庁特殊部隊の訓練映像では”人質をとった犯人を模した標的”の怖い顔に全弾命中させています。
けん銃使用のルール改正後、状況のひっ迫性によっては威嚇射撃を行わずして即座に発砲を行うにあたり、撃鉄をあらかじめ起こさずに発砲する『命中精度に劣るガク引きのダブルアクション』で即座に撃つ必要性も生じています。
以下の画像は大阪西成での暴走事件(2012年) にて、運転席の被疑者に極めて近い距離で短銃をかまえ、車からただちに

(写真引用元=JNNの報道)
降りるように命令する3人の大阪府警警察官の写真。被疑者はこのあと車をやにわに発進させ、交差点へ飛び出す。すでに周辺には多数の野次馬が集まっており、一般市民に危険が及ぶ可能性を考慮した警察官は発砲による制止は不可能と判断。現場警察官が日々対峙する凶悪事件は警察学校の射撃場の25メーター先の標的ではなく、目の前20センチで起きているのが実情。
このため、現在では実際の訓練でもダブルアクションかつ、5メーター以内の距離を想定したものも行われています。

ニューナンブM60で射撃訓練を行う警察官。映像ではあらかじめ撃鉄(ハンマー)を通常位置から撃発準備位置まで親指で起こし、シングルアクションに移行する操作が確認できる。画像の出典 https://www.youtube.com/watch?v=0cHIZvlwx3Y
自動式と違い、回転式けん銃(リボルバー)の構造上、ダブルアクションで射撃を行う際は引き金の引きしろが伸びて、ガク引きが避けられず、命中精度が劣ってしまう場合も。
地域警察官のほぼ全員が回転式けん銃を貸与された日本警察では早急に克服したい課題と言えそうです。
射撃訓練については、別項にて考察しています。