警察官に貸与される被服にはスーツ型の冬制服、合制服のほか、丈の短いブルゾン型になった活動服と呼ばれる被服もある。現在、街中で見かける地域警察官のほとんどがこの活動服スタイルだ。
活動服は丈が短く腰回りの警棒やけん銃に手が届きやすいため、地域警察活動をもっぱらとする外勤員にとっては非常に活動しやすいデザインになっている。
なお、本部執行隊である自動車警ら隊も活動服を着装する。
したがって、現在においては活動服と言えば、地域警察官の象徴なのである。
正式な制服ではない活動服は着用制限が厳しい
ところが地域警察官が着装しているこの活動服、実は制服ではなく、制服とは別扱いになっている。
一例として典拠を示せば、警視庁警察官服制規程のなかにおいて『制服または活動服』と両者に区別をつけている。ただし両者を含め『制服等』と呼んでいるので、便宜上は活動服も制服の範疇に含まれると考えて問題はないだろう。
しかし、活動服の着用はそれぞれの警察本部の裁量に任せられているのが実情で、着用するシーンに限定がある。
京都府警を例にとると、活動服はあくまで制服の補充的な着用が認められているだけであり、訓令に定める業務(地域警察活動が主)に従事する場合に限って着用できる。
つまり、活動服は表彰式等公式の儀式、式典など改まった場での着用はまったく認められない。
さらに皇族の警衛、国賓等の警護の際も着用はできるが、儀礼上の配意を第一に考慮したうえで慎重に対応せよとまで苦言を呈されているのである。
一方、北海道警察でも『警察官の服制に関する規程の運用について』にて、京都府警とほぼ同様の対応をとっている。
この点からもやはり『儀礼としての制服』と『機能的な活動服』とでは区別されているのが実情だ。また、幹部警察官はほとんどの場面において活動服を着用せず、冬制服か合制服の上着を着用する。
なお、この活動服着用時は帽子も活動帽と呼ばれる略帽を被る。
余談だが、警察本部によっては警察官の活動服は交番相談員用の制服としてリサイクルされ、交番相談員の名称を背中に入れ、相談員のワッペンに換装するなどの細かな修繕を行ったうえで、再利用されているのだ。