覆面アンテナ風『MG-450-TP』による430MHz帯送受信実験が公開され話題。驚きの結果は

記事内の引用について 『ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】』より

覆面アンテナ風『MG-450-TP』って、アマチュア無線の430MHz帯での送受信性能はどうなんですかね?という実験の様子がYOUTUBEで公開されている。

実験の主はフリーライセンス無線(免許や資格のいらない趣味の無線)を紹介するももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】を主催されており、無線好きな方の視聴者も多い『ももすけ』さん。

念のためにおさらいしておくと、当サイトの覆面パトカー用アンテナの考察記事にて、すでに紹介しているとおり『MG-450-TP』とは日本アンテナ製のタクシー事業者(タクシー無線)向けユーロアンテナで、すでに警察において覆面パトカー用に配備されている『MG-UV-TP』と極めてソックリな覆面アンテナ風製品だ。

『MG-450-TP』は業務用無線アンテナであるため、普通のアマチュア無線ショップでは扱いがないが、業務無線機専門店では販売されており、本家の『MG-UV-TP』に比べれば、断然入手しやすい製品と言える。

 

そのため、愛車のモドキ化に勤しむマニアにとっては“本家MG-UV-TPの血を引く由緒正しい代替品”として、安価で入手しやすいので『とりま、450TPとピーポくんステッカー付けとけばいいっしょ。大宮ナンバーだけど。こまけぇことはいいんだよ』と支持する声も多い。

こまけぇことは当サイトのアンテナのページを参照されたい。

覆面パトカーのアンテナを種類ごとに解説!偽装アンテナから車内アンテナの増加へ

 

車のルーフトップにマグネットで設置するアンテナは垂直に立てた場合、広いルーフ面がパラボラアンテナめいた作用をすることで、エレメントの短いMG-450-TPでも、ハンディ機付属アンテナでの車内受信に比べれば、感度がはるかに良好なのだ。しかも目立たない。

そして今回『アマチュア無線に許可された430MHz帯』において、実際の送受信環境の検証を行うのが、ももすけさんの実験動画だ。

 

まずは450MHz域付近のSWR(定在波比)を測定。すると画像のとおり1.27を示しており、やはりMG-450-TPはタクシー無線の460MHz帯(実際に使われるのは450MHzから459MHzの間)に対応するのだから450MHzにバッチリと同調するように設計されていることがわかる。

450MHzでのSWRは1.27にまで落ちている。SWRは1.5以下が理想とされ、 3以下が実用上の限界とされている。すこぶる良好だ。これならアマの430MHzでもイケるんちゃうの?オッス、オラ無線従事者、いっちょやってみっかなどと我々が考えてしまうのも無理はないんだぜ!? 画像の出典 ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】

そして、肝心のアマチュア無線で使用される430MHzはというと、こちらも1.3前後とすこぶる良好だ。ちなみに422MHz帯域の特定小電力トランシーバーの帯域もチェックすると、こちらも良好な数値を示しているため『意外と航空無線や鉄道無線、アマチュアの144MHz帯の広帯域受信も聞けるんじゃないですかね』と、ももすけさんは評価した。

なお、筆者自身も総務省によるアナログ無線の周波数再編計画が推し進められる寸前の数年前、MG-450-TPと広帯域受信機のIC-R6にて“受信実験”を敢行。受信感度は118〜140MHzの民間/自衛隊エアバンド、各種業務無線や官波が割り当てられていた150MHz帯、そして役場の防災移動系などが多い460MHz帯、いずれも実際良好であったことを記させていただきたい。

今回のももすけさんの実験では、実際にアマチュア無線のハンディ機『FT3D』を用いて、レピーターと呼ばれる中継局に搬送波を送信し、その作動を確認する作業『カーチャンク』を行なって、返ってきた電波の強度をSメーターで確認している。レピーターとその仕組みについては以下のサイトを参照されたい。あと『マイコン刑事』も面白いから読んでね。

アマチュア無線のレピーターの仕組みと使い方

レピーターから返ってきた信号強度、つまり電波の強さはフルスケール(つまり、アンテナ3本)となっている。受信はすこぶる良好のようだ。

ももすけさんは前回、アマゾンで低価格の車内設置型の覆面アンテナを購入して受信実験を行なっているが、日本アンテナの450TPの予想外の感度に驚いた様子だ。画像の出典 ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】

レピーターを使って無線交信する方式を『山かけ通信』と呼び、警察無線ではこれが基本であることを当サイトも別項で解説しているが、アマチュア無線でも全国各地にレピーターが設置されており、山かけ通信が利用できる。覆面パトカーの備える本家ユーロアンテナ『MG-UV-TP』のような短いアンテナでも、警察本部と遠方の捜査車両同士が問題なく送受信できる理由は、まさにこの山かけ通信のおかげだ。さらに警察無線ではパトカー個別の車載無線機にも中継機能を備えており、不感地帯ではパトカー自体が”中継局”になることも強みだ。

さて、誤解のないように申し添えるが、ももすけさんの今回の実験は『アマチュア無線機による430MHz帯での送受信実験』であり、また筆者の過去の実験も『広帯域受信機による受信実験』であり、いずれも『デジ簡の送受信実験』ではない。

というのも、前提としてデジ簡では技適(※wikipedia)の認証を受けていないアンテナの使用は認められておらず、万が一未認証のアンテナで送信してしまうと、電波法違反になる恐れがあるためだ。

たとえ、350MHz帯対応の覆面パトカー用『MG-UV-TP』でもデジ簡アンテナとしては技適を受けていないので法的には使えないと言えるだろう。

アマチュア無線や受信のみに関してはアンテナに『技術適合基準(いわゆる技適)』による法的な制約はないため、このような実験が自由に行えるのだ。画像の出典 ももチャンネル! 【無線と車でアウトドアなYouTuber】

というわけで、ももすけさんの実験の結果、覆面アンテナ風『MG-450-TP』によるアマチュア無線の430MHz帯での送受信はとりあえず問題なく、十分実用的に使えるということがわかった。

マグネット式で着脱容易、ダサくないどころか、むしろ車がカッコよくなる魔法のアイテム(!?)こと、MG-450-TP。まさに『キミのクルマが役所のクルマに!?』である。キミの愛車が渋滞の先頭になってしまうのだ。懐かしい。

ただし、上述の技適の事情があるため、ドレスアップ目的はともかく、本来の無線用アンテナとして実用目的で使う場合は、受信機やアマチュア無線機での利用にとどめ、くれぐれも『デジ簡で送信』はしないようにご注意願いたい。

あとアンテナ泥棒。泥棒はともかく、このデジ簡とアンテナの技適問題は意外と見落としがちな盲点でもあるので、あらためて注意喚起したい。

覆面パトカーみたいなダッジチャレンジャーSR8がデジ簡(車内秘匿アンテナ)装備!

若き僧が僧衣を脱ぎ捨て、ドリフトに没してタイヤを坊主にしていく姿をドキュメンタリー風に記録しているYOUTUBEチャンネル『you寺FACTORY』が今、じわりと人気だ。

茨城県にある『向山寺』の副住職として、小気味良いショート編集と、どこかとぼけた口調で車好きから支持されている『ドリフト僧侶こまっちゃん』が、今回はある男性の愛車『ダッジ・チャレンジャー』を紹介。黒くていかついアメ車然とした風体だが、驚くことに米国警察の覆面パトカー仕様に改造され、ダッシュライトやサイレンアンプも備わっているようだ。

いざ、車内の紹介に入ると、こまっちゃんが無線機に気付き『これ、何に使うんですか?』と、アンテナ職質の警察官の如く尋ねると、オーナーの男性は『これ、パトカー になってて・・・。そのグループで共通の無線積んでて』と一言。

『今さらっと”パトカー になってて・・・”って言ったけど、パトカーなんですか!?』と困惑するこまっちゃん。

『パトカーなんです!』とオーナーの男性。

車内からは手錠も発見され、これにはこまっちゃんも戸惑うしかない。

さて、このダッジ・チャレンジャーは八重洲のデジ簡機『FTM320R』を搭載しているようだが、車外にアンテナは見当たらない。他人の車のアンテナが気になって仕方がない筆者が『ん?車内アンテナかな?』と思ったら、やはりリアウインドウ内側にそれらしきモノを装備しているようだ。

この車内アンテナはアマゾン等で販売されている『351MHz デジタル簡易&デジタル登録局用ガラス貼り付けアンテナ 過激飛びMAX』と思われるが、もしそうなら、このアンテナはデジ簡用アンテナとして技適を取れていないという指摘もある。

前述の通り、一般的にはデジ簡では技適認証のないアンテナで電波を送出すると電波法違反となりかねないため、今一度の確認が必要かもしれない。

ということで一般論では、技適の問題でデジ簡では使えないアンテナもあるわけ。

移動体通信において送受信感度を上げたいなら、是が非でもアンテナを車外に出すのは常識とはいえ、筆者のようにアマチュア無線用アンテナを隠してしまいたい、あるいは偽装したい無線従事者資格を持つマニアや、デジ簡といったフリーライセンス無線を楽しむマニアも多いはず(!?)そんな中でアマチュア局には”救世主”となるアンテナが『MG-450-TP』なのかもしれない。実際に車に装備して運用されている局長もいらっしゃるようだ。

残念ながら国内のメジャーなアンテナメーカーから販売されているアマチュア無線用アンテナにしても技適認証済みのデジ簡用アンテナにしてもイケテナイデザインが多く、デジ簡ユーザーからはD社やC社に対して何とかしてほしいという切実な要望も多いのではないだろうか。これまでC社さんはデジ簡およびアマチュア無線用ドルフィン型アンテナ、D社さんはデジ簡用ユーロアンテナを発売してくれたが、いずれもコンセプトとしては良いのだが、我々が求めるスタイルじゃなかったようで、ユーロタイプの方は実際すでに廃盤となっている。

そういう事情もあり、その辺の大人のしがらみを無視した製品が製造できる中国の名も無きメーカーの製品に一定の需要があるようだ。なお、技適のないアンテナを購入すること自体に問題はない。

ももすけさんの動画に『ミエAC129局』として頻繁に登場するアタックさんも『MG-450-TPにDCR(351MHz)用があればいいのだが』とおっしゃっていますが、筆者も日本アンテナさんからMG-450-TPの流用でDCR用351MHz対応型がいつの日か発売されるよう願っているのが正直なところ。

https://twitter.com/mieac129/status/1606229585263095808?s=46&t=_uZEtULIE836hMgzvDprWA

それまではいい子にしてアマの433MHzで遊んでますから。でも、ついうっかり144MHzでもオンエアしてしまい、ファイナルを壊してしまったりして……(笑)

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