“東京オリンピック警備公式けん銃”!?日本警察でのH&K SFP9(VP9)配備が北海道にて確認される

先日無事に終えた2020東京オリンピック。それは事前の綿密な警備計画に基づいた関係機関による厳重な警備の賜物である。警備に当たった官民の関係各位にあっては頭の下がる思いだ。

さて、東京オリンピックで『テロ対策』という天下御免のお許しが出た名目上、昨今では日本警察の制服や私服がどんな装備品を使っていても驚かない・・・・・・そう意気込んでいた筆者だが、今回の東京オリンピックの警備に関して一部で話題をさらった“制服警察官の腰にグロック17/5genが鈍く光る衝撃の一枚”を見ると、やはり日本警察けん銃の知識アップデートは万事怠ってはならないと感じる。

グロック自体の配備は、すでに20年前、SATの訓練動画公開時に明らかとなっており、近年でもSPへの配備が実働訓練で公開されてはいる。

警視庁SPのけん銃が25口径から38口径に大口径化した理由は?

とはいえ、機動隊員の可能性もあるが、”制服を着用した警察官の腰にグロック”となれば、ヤハリ度肝を抜かれてしまう。

だが、今回の記事の要旨は実はグロックではない。

“東京オリンピック警備における警察けん銃の新たな発見”という事象においては上記グロックのほかにも、もうひとつ、新たな銃が見られた。

北海道内で明らかになった警察へのSFP9(VP9)配備である。

2021年6月、これを密着取材の上でスクープ写真ですっぱ抜いたのはPCファンとして名が知られるエスハイ氏。同氏に拠れば、この写真はまさに”実働警備中”のワンシーンだという。

エスハイ氏は撮影時の細かなことについて言及をされていないが、写真に映るのは明るめの青色出動服を着装した数名の警察官と見られる人物。

まさか員数外の自衛隊特殊部隊員が警察の出動服を着て・・・・・・というわけでもあるまい。オメガ7みたいに言うなよ・・・・・・。

同氏が一連の東京オリンピック取材で札幌(マラソン競技の開催都市)を中心に警察車両を撮影していることを考えると、撮影地は札幌またはその近郊と見られるため、常識的に考えて他県警の応援要員でなければ、北海道警察の何らかの部隊と推測できる。

考えられるのは本部刑事部捜査一課特殊犯、いわゆるSIT、もしくは警備部機動隊の機能別部隊の一つ、銃器対策部隊、いわゆる銃対だが、この明るいブルーの出動服を見る限りでは銃対の隊員ではないだろうか。

刑事部の『SIT』と警備部の『SAT』の違いはひとつだけ

また、警察官と一緒に映る黒い200系ランドクルーザーにも注目してみよう。

“警察の黒い200系ランクル覆面”と言えばおなじみ、機動隊の銃対に配備される小型遊撃車。普段は空港等の重要防護対象施設(重防)に常駐するほか、大規模なイベント警備にも派遣される車両だ。

市街地を武装テロリストがレンタカーの4tトラックでAKMを乱射しながら都内を逃げ回るような重大事安が発生した場合、まずは銃器対策部隊員が走破性に勝る防弾ランクル覆面に乗車して臨場、徹底追跡。警視庁と神奈川のSIT、SIS合同部隊が封鎖するレインボーブリッジに追い込まれたテロ犯はベレッタ92とMP5SFKによる牽制射撃を受け、行く手を阻まれる。

【ついに決着】長らく続く『ハマー覆面』の本物orモドキ論争に終止符が打たれた

キャンターベースの特型遊撃車を盾に銃器対策部隊が包囲する。後藤隊長、ヤツら袋のネズミです!うん、そうね・・・今回、我々の出番ナイみたいね・・・おや・・・?上空からは89式を構えたSAT隊員が専用ヘリ『ベル412EP/防弾仕様』で参上だ。今度はパトレイバーか。次回は中空知防衛軍ネタをやりたいです。

警察の銃器.2 『特殊銃』MP5から自衛隊89式、対物狙撃銃まで

 

話を戻す。そして彼らブルーの出動服の警察官の腰に吊られている銃に注目。これは東京オリンピックの警備に向けて、特別に配備されたSFP9と見られている。

ドイツの日刊紙『ブラックフォレストメッセンジャー』では2020年、日本警察は2,000丁のSFP9をH&K社から納入を受けたと報じており、裏付けがあるのだ。

『彼ら(HK社)はまた、成功したSFP9モデルのけん銃2,000丁を日本の警察に納入したことを誇りに思っています。これらは来夏のオリンピックの安全確保のために特別に使用されます』

出典 ドイツの日刊紙『ブラックフォレストメッセンジャー』

すなわち、今回のSFP9はまさに”東京オリンピック警備公式けん銃”というわけだ。そんな、”公式テーマソング”みたいな言い方はやめなさい(笑)

またH&Kと言えば、すでに防衛省ではこれまで配備されていたP220(国内ライセンス製造品)に代わる次期制式けん銃として、9mm拳銃 SFP9 (H&K VP9)の配備を陸自を中心に行なっている。

警察庁側も同じモデルの大量配備した事実、すなわち『一部装備の共通化』は何を意味するのだろうか。

自衛隊と警察が相互に人材交流することで技術を共有する狙いもないわけではないだろう。

それとも『警察に試用させて、現場の反発が強ければ全てのSFP9を自衛隊に移管させよう』などという日本政府の思惑が渦巻いていたりして。

いずれにせよ、日本警察へのSFP9の配備は東京オリンピックが期になったと言っても過言ではない。

なお、日本警察が配備する現行けん銃については下記のページにて総合的に解説しているので目を通されたい。

都道府県警察では3種類の回転式および、2種類の自動式けん銃が主流

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