「至急、至急」でおなじみの警察無線の「至急報」はどの普通通話よりも優先される

警察密着番組で緊迫感満点のシーンと言えば、やはり「至急報」と呼ばれる緊急連絡だろう。

「至急報」とは?

例を出せば、神奈川県警察無線通信運用規程では警察無線の運用に「普通通話」と「至急通話」の2種があるが、同運用規程では「至急通話とは、特に急を要する通話で、送受信中の普通通話を中断して送受信するもの」となっている。

たとえば、指揮命令ではない、緊急性のない報告連絡などを行っているパトカーと本部などの普通通話の最中に、緊急を要する事案の呼び出しをしなければならない別のパトカーが急に無線に割り込んでも、誰にも怒られないブレイクが「至急報(至急通話)」なのだ。

至急報は他のどの通信よりも最優先扱いとなるが、その際は呼び出す側、呼び出された側の双方が通話に「至急、至急」の前置きをする。

例えば以下のような交信だ。

機捜車「至急、至急。広域223から神奈川本部」

通信指令室「至急、至急。広域223、どうぞ」

機捜車「了解。先、手配中の該車両を発見。場所にあってはドンドン商店街。応援車両願いまーす」

通信指令室「神奈川本部了解」

このように「至急、至急」は凶悪事件や大事故の発生、現状事案の新たな展開を告げる宣言にも等しく、警察24時で至急報がかかれば、画面には「至急、至急」のテロップの文字もウザいくらいに大写しになり、大盛り上がり間違いないというわけ。

余談だが、80年代後半、アメリカのテレビ映画で実際の事件を基にした「FBI 男たちの闘争」という作品の中で描かれた、主人公たちFBI捜査官らによる車載のFBI専用無線での交信が印象的だった。犯人の車を発見した主任捜査官が「ブレイク、ブレイク!」とマイク片手に叫んで、”割り込み”していた。これはやはり、日本の警察無線の「至急、至急」に該当する緊急連絡と同じ運用なのだろう。

なお、無線交信時は通話コードの適切な使用に努め、明瞭簡潔に交信を行わなければならない。通話コードについては以下のページにて解説を行っている。

警察官が「通話コード」を無線で多用する理由とは?