日本警察での射撃訓練

バナー画像画像の出典 北陸朝日放送公式ページ 『警察官が射撃の技術競う 2018.10.9放送』

日本のピストル射撃競技の場合、競技用けん銃であっても所持が大変厳しく規制され、民間人の選手でその所持許可を受けられるのは500名までに制限されている。

そのため、競技人口のその多くが警察官や自衛官によって占められているという。

ピストル競技は所持に厳しい規制があるため、民間人で所持できるのは500人に制限されている。大会などでは警察官や自衛官がその大半を占め、民間の競技選手がトップ選手として活躍するのは極めて稀なことだ。

引用元 立命館大学公式サイト http://www.ritsumei.ac.jp/features/r_na_hito/entry/?post=111

これらピストル射撃の選手は自衛隊の場合、オリンピックの金メダルを取るためだけに存在する自衛隊体育学校の所属選手だ。

一方、各都道府県警察の場合、特別な射撃訓練を受けている警察官は特練員と呼ばれる。

日本警察での射撃訓練

日本警察での射撃訓練はどのように行われているのだろうか。

警察官が扱うけん銃は『けん銃操法』によって、細かく取り扱い方が規定されている。

警察学校での射撃訓練は回転式のけん銃を使って紙の標的を射抜くベーシックな訓練だ。

右手のみで銃を握り、こぶしを作った左手を腰に当てて撃つ片手撃ち、両手でグリップをしっかり掴んで撃つ両手撃ちの二種類の射撃方法を学ぶ。

通常、入校中の学生のみならず、配属後の警察官も警察学校へ来て、年に何度か射撃訓練を行う。

ただし、予算の都合上、そう多くはないので本署の会議室などでビデオシミュレーター訓練も併せて行うように警察庁が通達を出している。

やはりアメリカの警察と異なり、日本警察での射撃訓練は特別な訓練だ。一般的な警察官が年間に射撃訓練で発射する実弾の数は合計で40から50発程度。

しかも、これは第一線で活動する地域警察官や刑事場合。交通部や内勤の警務部の場合はさらに少なくなるという。

実際に、警察庁の通達では治安の最前線である地域課の交番勤務員や刑事などに最低でも年1回の実弾による射撃訓練を義務付けている。

しかし、それで満足とは言えない状況だ。2014年に47都道府県警察本部が実弾訓練で使用した弾薬の購入経費は2億2千万円余り。これでは、全国の警察官が年間に数十発の実弾訓練ができる程度の費用にしかならない。

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映像装置による仮想射撃訓練

したがって、警察庁は警察官の射撃の腕が鈍らないように、実弾射撃訓練のほか、ビデオ・シミュレーターを用いた訓練も併せて行うように全国の警察本部へ通達を出している。

岐阜県警察本部公式サイトによれば、これは『映像射撃シミュレーター』という名称で、スクリーンに投影された映像に向け、警察官がレーザー光を投射して模擬の実戦的射撃訓練を行える装置だ。リンク先では実際に警察官が映像装置の中の被疑者に銃を向ける様子が確認できる。

ビデオ・シミュレーター訓練は一般の警察署内でも武道場や会議室などの広いスペースを利用すれば、安全に行える利点がある。

近年では千葉県警察署木更津警察署など一部の警察本部において、新設の警察署のいくつかに射撃場をあらかじめ併設しており、わざわざ警察学校まで出向かなくても、所属する所轄署の中で80年代の刑事ドラマよろしく実弾射撃訓練が行える場合もある。ただし、このように射撃場を併設する警察署は全国的に見てもまだそう多くはない。

なお、けん銃の扱いには「けん銃操法」という基本となる定めのほかにも、級による格付けもある。

日本警察のけん銃には照星はあっても照門はないというのは本当か?

警察官へ貸与される回転式けん銃の欠点と利点とは?

日本の警察官に広く貸与されている回転式けん銃の仕組みに迫ろう。

現在、我が国で地域警察官に貸与されているけん銃の主流は圧倒的に回転式けん銃(リボルバー)だ。けん銃の種別については以下の記事で詳細に解説している。

都道府県警察では3種類の回転式および、2種類の自動式けん銃が主流

日本警察では長らく、正確な着弾を期すために撃鉄を起こしてから引き金を引く『シングルアクション』での発砲を基本としており、それを実践するための射撃訓練を最大25メートル程度の距離で行っていた。

シングルアクションによる射撃はダブルアクションと違い、あらかじめ撃鉄を起こす動作と、その時間的余裕が必要となるが、重い撃鉄が起こされた状態では、引き金の重さ(トリガープル)は約2キロと軽く、精確な着弾を期待できる。

一方、ダブルアクションは引き金を引くことで重い撃鉄を引き起こし、さらに並行して最大5発の弾丸が装てんされたシリンダー(弾倉)を回転させる動作を行わなければならず、引き金を引く人差し指にはシングルアクションの4倍近い約7キロもの力が必要となるのだ。

この機構により、結果的に命中精度に悪影響が出てしまう。狙いよりも下方へ着弾してしまう現象は、重いトリガーを強い力で一気に引き切る、いわゆるガク引きによるものだ。

市販のモデルガンを使って射撃フォームのトレーニングの研究を行う警察官の写真。 モデルガンの撃鉄はあらかじめ通常位置から撃発準備位置まで手動で移動させた「シングルアクション」の状態であることに留意。※写真は批評および研究のため、毎日新聞社公式サイトから引用したもの。

逆に考えると、手動の安全装置を備えない回転式けん銃にとってはダブルアクションで約7キロという非常に重いトリガープルこそが暴発を防ぐ安全装置であり、利点と言える。

さらに加えて日本警察が独自に採る安全対策が、通称『安全ゴム』である。三日月形の上部が欠けたような形状をしたゴム片を引き金の後ろにはめ込んでしまうのだ。

『安全ゴム』に見る日本警察のけん銃管理

通常であれば、これらの回転式けん銃本来に備わる安全機構と、追加の安全対策で物理的に”異物”をハメ込まれた日本警察の回転式けん銃は、意図的に引き金を引かない限り、暴発することがない。

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