その筋にはもっとも有名な通話コードと言っても過言ではない『123』。
これは照会センターの通話コードであり、厳密には”照会”そのものを意味するものではない。
例として警視庁では職務質問で前科前歴照会をするにあたり、まずすべきことは無線で照会センターに繋ぐことだ。
リンクされたなら、照会事項(総合、A号、L2などなど)を送るのだ。ただし後述するが、音声以外の照会方法もある。
『照会センター』とは
各都道府県警察本部はそれぞれ、総務部情報管理課の中に『照会センター』を置いている。
照会センターには個人の前科前歴、行政処分履歴、さらに失踪届けなどのセンシティブな情報がすべて電子データとして集積されて管理されている。
職務質問を行う地域警察官や機動捜査隊などからの照会要請を受けると、照会センター職員はただちに対象者の氏名生年月日、免許証番号から、蓄積されているデータとの突き合わせを行い、現場の捜査員に照会結果を通話コードを用いて伝えるのである。
もし、対象者に何らかの犯歴があれば『A号ヒット』と照会センターから返ってくるほか、指名手配中ならB号、家出中で捜索願が出されていたならばM号などと、各種の通話コードで返ってくるわけ。
当然、犯歴がない者は照会センターにそれらのデータがないので、該当が何もない場合は「ゼロゼロ」あるいは「該当なし」などと返される。
パトカー照会指令システム(通称・PATシステム)による照会
一方、音声以外の照会方法もある。自動車警ら隊などが対象者の身分証などから身元照会を行う際に利用するのが、警視庁の他、各警察本部で運用されているパトカー照会指令システム(通称・PATシステム)だ。
PATシステムはデジタル基幹系無線の搬送波にPAT用データ通信の電波を重畳させる方式となっており(現行のカーロケと似ている)、各都道府県警察の照会センターの大型コンピュータに蓄積されている情報データーベースにパトカーの端末からアクセスすることにより、対象者の前科、指名手配などさまざまな照会を可能としている。
80年代に全国ネットで整備された警察専用の情報通信システムであるパトカー照会指令システムは、平成24年時点で全国3000台の警察車両に搭載され配備されている。
一方、徒歩やチャリで警らを行う外勤の地域課員が照会を行う場合は、PSWと呼ばれる署活系無線を使って行う。署活系無線でも、照会できるシステムがあったが、警視庁と大阪のみで全国整備はされなかった。
なお、PATシステムは現在配備が進んでいる新型無線システム『IPR』に統合される形で更新される。