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アメリカの警官たちの給料事情、そして驚きのお稼ぎの実態をご紹介しよう。
アメリカの警官の給料
“日本とアメリカ、制度は違えど同じ警察官だ”と、アメリカのサンフランシスコ市警現役巡査部長、アダム・プランティンガ氏が自著の日本版出版に寄せて日本の読者に語った。
だが、アメリカと日本の警官の俸給事情に関しては、制度が違えど同じ賃金だとは言いがたい。
これこそ日米警察の賃金格差だ。例を出すと、ロサンゼルス市警の高卒警官の初任給は税引き後の実際の手取りで30,000ドル(日本円で約336万円……2019年4月現在)とのこと。
典拠元サイト LAPD(ロス市警)公式サイト様
http://www.joinlapd.com/salary.html
また、犯罪が多発する都市として知られ、アメリカ経済誌が発表した「惨めな米都市番付」で第1位を獲得したデトロイトはロボコップでもおなじみだが(同作品では市が破たんして市警察は民営)、そのデトロイト市警でも平均年収が35,000ドルとのこと。全体的にアメリカの警官は”命を懸ける割には”給料が安い傾向にあるだろう。
余談だが、2015年3月19日放送のNHKラジオ深夜便のアメリカ在住邦人の女性の報告では、お隣のカナダのトロント市警では80%以上の警官が100,000ドル以上の年収を得ており、市民が驚いていると語っていた。
無論、報酬が違えば仕事に対する考え方もそれなりに変わってくるだろう。
FBI捜査官の給料は市警より高いか?
一方、連邦政府の法執行機関であるFBI捜査官の俸給はどうだろうか。モルダーとスカリーのお給料は高いのか。
連邦捜査局は情報、防諜、対テロ、刑事、サイバー捜査の5つの主要部門で13,500人以上の特別捜査官を任用しているが、FBI捜査官の平均年収は400万円(2019年のヤフーの報道記事)とのことだ。
実際に筆者が調べるとFBI公式ウェブサイトに2002年当時の情報として以下のような記述があった。
バージニア州クアンティコにあるFBIアカデミーでの16週間のトレーニングプログラムに参加している間、特別捜査官は43,705ドルの開始給を受け取ります。 卒業時には給与は地理的な割り当てに対する地域の支払いに応じて、53,743ドルから58,335ドルの範囲になります。 FBIは優れた昇進の機会、退職、そして健康上の利点を提供します。
引用元 https://www.fbi.gov/news/pressrel/press-releases/fbi-jobs
給料のみならず、福利厚生もアピールされており、日本の公務員と同様のようだ。余談だが、2018年にはトランプ大統領が非常事態宣言を出し、連邦政府機関の大部分が業務停止となり、それらの職員は自宅待機または業務縮小を余儀なくされているという。FBIも例外ではなく、とくに多額の経費が必要となるテロ関係の捜査に支障が出ているという。
給料が安いから!?アメリカの警察は副業が可能!
しかし、アメリカの警察ではこのような俸給事情からか、あるとんでもないことが許可されている。
それは警官の副業。
本業の安い賃金をカバーするためなのか、警官の副業がアメリカでは広く認められているのだ。工事現場の交通誘導をしているのはバイト中の警官なんて事もある。
警官に限った話ではなく、アメリカの公務員全般に副業が認められている。もちろん、FBI捜査官であっても、定められた手続きを通じた承認を経た上で許可を取れば、副業が認められる。
CNNの報道によれば、2019年には連邦政府予算の不足により各連邦政府機関が閉鎖に追い込まれているが、FBIでも予算不足は同様で、捜査費は底をつき職員も無給状態。各地のFBI支局には食糧配給センターが設けられているなかで、職員たちが副業を探し始めているという。変なビデオに出なければいいが……。
一方、こちらはお金が目的なのか趣味なのか、映画に出演する警官もいる。
ハリウッド映画で見る「やたら動きがリアルな警官」実は本物かもしれない!
日本の映画ではやたらと集団行動や統制の美を演出したいのか、足並みをそろえて蟻のごとく同じ動作で展開するSAT隊員など、緊張感のない間抜けな演出が多い。村社会的演出って言うのかな。本当に日本人が作っているのかは知らないが。
しかし、やはりアメリカの映画を見ていると警官役の動きは銃の構え方から駆け足で現場を包囲する展開もやたらリアル。
それもそのはず。これら脇役のアザーガイズ、実は本物の非番の警官かもしれないのである。
なぜか、映画「HEAT」では現職の保安官事務所の捜査官などが刑事役で出演していたが、ハリウッド映画では現職の警官や法執行官が映画に出演するというのも割と普通なのかもしれない。
中には、保安官代理と俳優を兼業する大スターも。世界的に有名で日本語もペラペラで娘が自衛官募集ポスターに出たこともあるハリウッド映画俳優は、ホンモノのルイジアナ州ジェファーソン郡の正式な保安官補という輝かしい20年以上のキャリアを持っている。実はあのスティーブン・セガール。
さすが州が違えば別の国。自由だぜアメリカと言うほかない。
警官がドーナツショップを経営することも
工事現場の棒振りでは稼ぐのは難しい、しかも誘導ミスしたら有罪&賠償だし、もっとドカント稼ぎたいと考えたのか不明だが、ドーナツ屋の経営に乗り出すチャレンジ精神旺盛な警官たちもいる。その名もコップス&ドーナッツ。
潰れかけのドーナツ店を9人の地元警官がお金を出し合って買収し、運営に乗り出したのだ。その目的はかつて犯罪者だった者を雇って更生させるという立派な大義名分のため。
実際の調理などは彼ら元犯罪者の店員にまかせ、あくまで警官はボランティアでドーナツを作るというが、しかし、やはり警官が個人的趣味で始めた店という感じがしないでもない!?
それにしても日本の警察では考えられないけれど、アメリカの警官の副業可能は事実だったわけだ。なお、マイアミ市警の女性警官は警官を拝命する前に変なビデオに出演したとして米国内で話題になった。
アメリカの警官は早めに退職し、さらに稼げる仕事に就く
日本の企業や組織では能力のある人、個性的な人は『出る杭』として潰されて社畜としてイコライズされるか、従えなければイジメ抜かれて早々に追い出されるのが常だが、アメリカでは多くの場合、認められる社会なので、警官も安い賃金に愛想をつかし、40歳を超えるとさっさと退職して、ルーティンワークだが安全で賃金の良い仕事に転職したがる。
ほとんどは大手警備会社の現金輸送車運転手、セキュリティ・コンサル、田村装備開発みたいなタクトレ屋を開業、転職するのだ。また、危険だが一攫千金を夢見て私立探偵や日本でも有名な『賞金稼ぎ』になる元警官もいる。
まとめ
というわけで、アメリカの警官たちの給料はそれほど高くはないようだ。また、例のロス暴動の原因のひとつであるロドニーキング事件以降、警官のイメージが悪くなり、全米では何十年にも渡って慢性的な警官志願者不足が続いている。