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世界の覆面パトカー事情！モドキもあるよ

日本では一般車両に偽装された警察車両を俗に覆面パトカー（警察の公称は捜査車両。正確には”私用概態警ら車”）と呼ぶが、英語圏の国々での名称はどうだろうか。

無論、もはや誰でもご存じのとおり「パトカー」は和製英語であり、日本でしか使われておらず、英語圏の国々では「ポリスカー」と呼ぶのが一般的だ。くだけた言い方では『コップス・カー』などとも呼ばれる。

そして、アメリカにおける覆面パトカーの名称は「Unmarked policecar」が一般的だ。unmarkedとは無表記、気づかれていないなどの意味を持つ。つまり警察の表記が書かれていない（覆面）車両というわけ。

米国警察の覆面パトカーの場合、現在ではほとんどが、車内設置の警光灯、すなわちダッシュライトおよびリアデッキライト、そしてグリルライトやバンパーライトを装備しており、これらを点灯させて緊急走行を行う。

80年代から90年代初頭には日本警察のように外部にマグネットで警光灯を着脱する覆面パトカーも主流だったが、現在ではどこの警察、それ以外の法執行機関でも車内設置型のダッシュライトおよびリアデッキライトが主流だ。

このフラッシュライトは緊急走行のたびに着脱する必要はなく、サンバイザー付近に設置されるのが特徴だ。

米国警察では主に頑丈なダッジチャージャーとスポーツユーティリティ車(SUV)が覆面パトカーになる。Photo by Tony Hisgett

フラッシュライトのメーカーはFederal Signal社やWhelen社がとくに有名で、全米の法執行機関で採用が多い。日本の警察でも覆面パトカー用にWhelen社のフラットライターが配備されている。

全国の覆面パトカー用補助警光灯としてWHELEN製フラットライターが配備か？

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ニセパトカーで検挙されるも不起訴に

また、米マサチューセッツ州では自家用車のマセラッティを制服パトカーのカラーリングにした23歳の男が『警察官になりすました』として警察に引っ張られ、起訴された。車には警光灯やボディのサイドに「POLICE」の表記はないものの、トランスフォーマーシリーズに登場する悪の組織『ディセプティコン』の名称と警察風の盾および警察関連デカールマーク『エマージェンシー911レスポンス』が表記され、警察の理念である『市民に奉仕する』というスローガンの代わりに『詐欺師が罰して奴隷化する』という皮肉めいた言葉も記されていた。トランスフォーマーオタクによるパロディであり「もどき」だが、警察は冗談として扱わず『見るからにコップカーであり、警官を装った』として運転者を見逃しはしなかった。逮捕された男の「自分の車に気づけば周りの車は減速する。警察の仕事を自分が手伝ってやってるんだ」という勝手な物言いに市民は唖然だ。しかし、その後クインシー (マサチューセッツ州)地方裁判所の書記官が起訴を棄却。『被告は車に点滅する青いライトを備えておらず、警察を偽装して誰かを欺いてもいない』という理由だ。

やはりブルーライトの搭載の有無と、それを悪用したか否かが、悪質性を左右するようだ。

なお、米国ではこのような事件も発生している。

米国史上でも類を見ないニセ覆面パトカー凶悪事件！『ブルーライトレイピスト事件』とは？

デンマークで覆面が覆面を追っかけて事故る！

一方、デンマークでは取り締まりに当たっていた覆面パトカーを別の覆面パトカーが、覆面と知らずに追いかけて、カーチェイスを繰り広げるという話題があった。当初、追いかけられた側の覆面は交通違反車両を追尾中だったが、それを知らずに別の覆面が追尾中の覆面を違反車両と勘違いし、延々とカーチェイス。最後には一般車両に衝突し事故を起こした。

なぜサイレンやライトなどの保安デバイスを作動させなかったのか不明だが、奇妙な事件(事故？)である。

覆面パトカーにレースを仕掛けた奇妙な子

機捜の覆面レガシィと知ってか知らでか煽りかましたら、サイレン鳴らされ追いかけまわされ、あげくの果てに引導を渡されてしまったという事件が2012年に北海道札幌市で発生したが、こちらも相手が覆面と気付かなかった珍妙な事件だ。

2013年2月、南アフリカのケープタウンで16歳の少年が兄の所有するNISSANNで、隣に並んだワーゲンを挑発、ドラッグレースを仕掛けた。信号が変わるや否や、少年はヌヌカッ！と猛ダッシュ。

ところがこのワーゲン、やにわにフラッシュライトを点灯させ、サイレンを吹鳴。そして拡声器で「前の車の運転手さーん。左に寄せて停車して……はい、そちらで結構です」とまさかの御声がけ。実は覆面パトカーだったのである。少年はあえなく御用に。間抜けだ。

偽の覆面パトカーを使って移動する大物女性歌手！？

後部座席で眠るマドンナさんのジャガー。ダッシュボードには不法に警察用のダッシュライトが。出典　英字紙ミラー

英字紙ミラーによると、なんとあのアメリカの有名歌手マドンナが、イギリス国内でのコンサートツアーでの移動中に”偽覆面パトカー”を装った高級車ジャガーを使って不法に渋滞をすり抜けた疑いがあることがわかった。

もちろん、運転していたのはマドンナ本人ではなく、専属の運転手だったのだが、ダッシュボードの上に警察が使用するフラッシュライトを取り付けたうえで点灯させ、クラクションを鳴らしまくり走行、他の車に道を開けさせて渋滞を”カット”。これにはマドンナのファンもさすがに驚き、さらには批判。問題のマドンナ’sジャガーの写真を見ると本当にダッシュボード上には覆面パトカーの使う赤と青のフラッシュライトが。スコットランドヤード (英：Scotland yard)の担当官は「このジャガーがロンドン警視庁の車であるとは考えられない」と答えている。

同警視庁ではさらに「覆面パトカーを装った車を不法に運行した場合、6カ月の懲役が科せられる。ただ、その嫌疑は当然、マドンナさんではなく、運転手にかかるだろう」と話しており、どうやらイギリスでもアメリカやその他の外国諸国と同様に覆面モドキには大変厳しいようだ。

記事典拠元
http://www.mirror.co.uk/3am/celebrity-news/see-madonna-use-fake-police-6950450

さらに世界の「覆面パトカーみたいな車」事情！

世界的に見ると覆面パトカーのような車両は警察機関以外にも多い。例えばアメリカの消防の緊急車両では、なんと「消防士個人の私用車」に緊急車両指定が条例で許可され、サイレンとフラッシュライトが搭載されている。これはとくに幹部消防隊員の私有車が適用されているそうだが、理由はやはり隊員がいち早く現場に駆けつけるため。

http://northernprideml.com/2011/11/22/lights-and-sirens-approved-for-firefighters-personal-vehicles/

またロシアの政府高官の黒塗りセダンには、サイレンと青い回転灯が装備されていて、緊急時にはこれらを使用し警察のパトカー同様に緊急走行が認められている。それだけでも日本人からすればびっくりだが、このロシアの政府高官たち、必要もないのにサイレンを鳴らし青灯を焚いて一般車両を排除したり割り込んだりする野蛮な振る舞いが、一般市民からとみに嫌われている。

YouTubeに投稿された動画では、青ライト装備の高官の車が、警察のパトカーにまで無理やり割り込みしてパトカーにサイレンを鳴らされるなど、まさに日本のプリウス運転手なみの傍若無人だ。

高官の車はモスクワだけで1000台以上あるとされ、民衆たちの間でこれらの横暴な特権階級に対して抗議するため、青いバケツをかぶって、あるいは自分の車に青いバケツを載せてデモをしたり、政府高官の車にいやがらせをするのが流行っている。

言うまでもなく青い回転灯に対して青いバケツで皮肉るというユーモラスな抗議だ。詳しくは「BLUE bucket RUSSIAN」などの言葉で検索してほしい。

韓国警察がついに”交通用覆面パトカー”を導入。しかし……？

韓国警察が新たに導入する”交通用覆面パトカー”が話題になっている。韓国中央日報の記事では市民の驚く様子を以下に伝えている。

警察庁は今年３月から京釜（キョンブ）高速道路で覆面パトカー２台を試験運行すると１５日、明らかにした。７月からはソウル外郭循環道路・嶺東（ヨンドン）高速道路・西海岸（ソヘアン）高速道路にも１台ずつ投入し、今年末までに全国のすべての高速道路巡察隊（計１１カ所）に１台以上ずつ配置する。

引用元　中央日報
http://japanese.joins.com/article/869/210869.html

今回導入される覆面パトカーは「暗行巡察車」と呼ばれているそうだ。

15日、警察庁は「暗行巡察車についての対国民政策広報と共感帯の形成のために、3月1日からの試験運営を経て、全国に拡大する」と明らかにした。

典拠元
http://mottokorea.com/mottoKoreaW/KoreaNow_list.do?bbsBasketType=R&seq=30771

韓国警察ではこれまで交通用としての覆面パトカーは導入してこなかったそうで、韓国の人々の間では「警察が交通取締りに覆面パトカーを使う」という、日本人としてはごく普通の感覚が無かったようである。

この日の覆面取り締まりで警察官が法規違反運転者から最も多く聞いた話は「この頃はこんなふうに取り締まるのですか。これがパトカーですか」だった。生まれて初めて黒色のパトカーを見た彼らの顔は当惑の表情に満ちていた。３月から試験運行すると報道されていたが知らないドライバーが大多数だった。

引用元　中央日報
http://japanese.joins.com/article/773/212773.html

今回、韓国警察が導入したのはヒュンダイのソナタだが、警光灯はアメリカ警察の様に車内設置のフラッシュ・タイプとなっており、ほかにも日本の警察でもおなじみの採証用のドラレコや後部電光表示板が装備されている。ところが、さらに車体側面の両ドアには警察のマーキングが入る。

これはおそらく、このページでも紹介しているアメリカの警察の「ゴースト・ポリスカー」と同じく、警察のマーキングの全くない交通用覆面は市民の誤解を招きかねないため、その対策だろう。

別の典拠元
http://www.recordchina.co.jp/a129884.html

ただ韓国の場合、アメリカのゴースト・ポリスカーと違って、車体サイドの警察マークはマグネットタイプとなっており、取り外しが可能。マーク自体もかなり目立つものになっている。

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画像引用元
http://www.carmedia.co.kr/fis/328205

1983年に放映されたテレビアニメに登場した未来の警察の覆面パトカーは電子的に（おそらくは）警察のマークが車体サイドに浮かび上がっていたが、2016年になってもいまだにアナログである。

追記

なお、韓国のこの覆面パトカー、すでに事故を起こしたという。
http://www.carmedia.co.kr/fis/328205

「覆面パトカーに『My Family』ステッカーを貼って幸せな家族を演出をして市民を欺き、交通取締りをするな！」という論争がぼっ発

これは2016年に報じられたニュースだが、オーストラリアのクイーンズランド州警察の新たな交通取締り戦術が市民の間で論争をぼっ発させた。

Jake Boehmと名乗る人物が「My Family」のステッカーで装飾された警察の車のスナップを撮ってFacebookにアップロードし「覆面パトカーに『My Family』ステッカーを貼って幸せな家族を演出をして市民を欺き、交通取締りをするな！」と怒ったところ、多くの人がクイーンズランド州警察の新たな交通取締り戦術を知ることとなったうえ、多くの共感を得た。

『My Family』ステッカーは世界中で流行している車両向けのステッカーで、家族をモチーフとしている。作っているのはThe Sticker Familyという会社。

写真はJamie BoehmさんのFacebookに掲載されたもの。

どうやら彼は「家族の車になりすまして、間違ったことをしている人を探し回り、違反金を稼いでいる警察」が気に食わない様子だ。さらに彼は「クイーンズランド州のゴールドコースト周辺で発見された偽装警察車両の写真をみんなも公開してくれ」と大勢に呼びかけた結果、警察がトラックまで覆面パトカーにして取り締まりを行っていることが発覚したという。

当サイトでも伝えている通り、クイーンズランド州警察と言えば日本警察の特殊急襲部隊も派遣されて訓練を受けているところ。しかもそれを州警察の広報誌でバラすことも厭わないオープンな警察だ。

日本の警察でも覆面パトカーに警察車両と思われないように欺くため、小道具を使って欺瞞、偽装をする場合がある。例えば身体障がい者の表示。「赤ちゃんが乗ってます」の表示。各種ステッカーによる偽装。車内に大麻草を模した芳香剤。ブラブラ踊るドコモダケ人形。缶コーヒーのオマケのフィギュア。

日本では怒るどころか、マニア以外誰も関心としない、たわいもない警察官の遊び心だが、オーストラリアの市民たちは「覆面パトカーが小道具で擬装する」、さらに「警察が商用バンやトラックを交通用覆面パトカーとして使う」というデリカシーの無い行為はフェアではないと考えており、大激怒しているというわけだ。この騒動はFacebookを中心に波紋が広がっており、多くの反発を招いている。実に文化の違いを感じさせる騒動だ。

そういえば日本警察でも、警視庁では安全教育兼交通広報車、いわゆるガチャピン色のハイエースで交通取締りを行っていることがよく話題になる。

警視庁安全教育兼交通広報車

http://www.yms-jp.com/castom7.html

http://www.yms-jp.com/castom-p/police/p1-3.pdf

記事と写真の典拠元　デイリーメール
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3384673/Police-slammed-patrolling-unmarked-car-rear-damage.html

世界の覆面パトカー事情のまとめ

それにしても世界には不思議な緊急車両事情があるものだ。警察機関や、その部署によってはそれまで覆面パトカーが配備されていなかったり、他業種の車両に偽装させたり、裁判所の命令で禁止されている例もあるとは驚きだ。

さらに、不法に覆面パトカーを偽装する行為に対しても、非常に厳しい。

米国警察の屋根に警光灯がないパトカー『スリックトップ』の利点とは？

逆に言えば、日本の取り締まり当局が甘すぎるだけかもしれないが。国が違えば文化も取り締まりも違うというわけだ。

NYPD「タクシースクワッド」に配備されるタクシー偽装型覆面パトカー

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